前作「ミツバチのキス」(双葉社・全2巻)も衝撃的なできばえでしたが、
今回の「おんさのひびき」(同)も方向性こそ違えまごうかたなき名作。
できることなら少年少女文学全集に収めてもらいたいくらいです。
小6であってもクラスメイトのキャラがそれぞれに単一ではなく、
表裏があり光と影とがあって陰影を浮き立たせている筆致が素晴らしい。
ウサギやネコを殺して楽しむ犯人を追い詰め自白にまでもっていきながら、
そんなのカンケーねえ!とばかりに弁解さえせず、
ウサギ殺しの疑いをかけられたまま三角野球の決闘を受けて立つアウトローな友人と、
その試合の中で屈折した自責の念から解き放たれていく主人公の少年。
こういう心理変化の過程が実に上手に描けているなーと。
その前後においても、登場人物各人は画一的なステロタイプではなく、
二面性ないし多面性が描き出されているのも好感が持てます。
そういった諸々が、
少年少女文学全集に収めて欲しいと私に思わせるのですが、
はたして小学6年生がこれを読んで読み込めるのか?
一部の早熟な子(読書と人間について)なら、
読めると思います。大多数には難しいかも。
伊図透氏については、新人らしいという以外、男性か女性かも存じません。
扱うテーマや小道具からは男性のように感じますが、
あまりに繊細な心理描写からは女性のようにも思えてしまいます。
いずれでも結構!
どうかお体を大事にして描き続けて下さい。楽しみにしています。
余談:双葉社の「アクション」編集部って、
伊図透氏にしろ、こうの史代氏にしろ、
いったいどうやってこういう天才肌の漫画家を発掘してくるのか、
失礼ながらとっても不思議です。(←全力で褒めています)