二巻では『秀才』『ふるさと』『カギ』の三つを収録。個人的にはいちばん読み応えのある巻です。
『秀才』はある日、凶暴な目つきの男が幸福な生活を営んでいた夫婦の家に侵入することからはじまる哀しみの物語。何の変哲もない夫婦二人とその子供の運命は、その日から静かに、そして確かに狂い始める。私が『おろち』の中で一番好きなのはこの話です。
『ふるさと』は純朴ゆえに挫折を経験し、社会の底の底まで落ちることになった、若き日に希望に燃えて故郷を離れた青年の話。ある日、ささいな争いから重傷を負い、病室で昏睡状態となった彼の魂は、ひとり故郷へ向かって飛んでいく。心理小説のような展開と描写は圧巻です!
『カギ』は近所の人々に「うそつき」とあだ名される、イタズラとうそが好きな少年の受難の話。狼少年にヒントを得たのであろう物語の筋、息もつかせぬ怒涛の展開に興奮すること間違いなし。
一巻で話の主軸となる人物がすべて女性となっていることに対し、二巻ではすべて男性となってます(いま思うと三巻もですね。そして四巻では再びすべて女性)。そういうことなども考えながら読み返すと、また一味違って楽しめるのじゃないかと思います。
二巻はそれぞれの物語の頁数もあまり変わらないので、『おろち』の中でも特に読みやすいかと思います。量もほどほどで、良質な物語をたくさん読みたい、という人はとにかく読んでみてください。