このようなすばらしい翻訳をしてくださった訳者の飯野友幸氏に、感謝と敬意を表したい。
アメリカ、百の自然を有し、百の民族を抱え、百の思想を育ぐくむ大地。世界を集め、世界に放つ、正と負の、美と醜の、過去と未来の溶鉱炉、それがアメリカだ。本書の帯にはこのようにある。「本当のアメリカはこの詩篇のなかに生きている!」。アメリカの始原精神を謳ったのがホイットマンだ。力強く自由で、豪放で、大らか。そして愛が深い。
飯野氏のダイナミックにリズム輝く訳に乗って、ホイットマンの心が飛び込んでくる。「いま、息をしている言葉で。」という光文社古典新訳文庫のすばらしい理念をまさに実践している。岩波文庫の酒本雅之氏の翻訳では味わえなかった、決然とした、あるいは優しい、心のままに、すぐそばから語りかけてくる言葉が溢れているのだ。
例えば、次の詩篇がどのように訳されているか、確認してほしい。
I celebrate myself, and sing myself,
And what I assume you shall assume,
抄録ではなく、是非全訳を目指して順次刊行していただきたい。そうしたことが実現すれば、日本におけるホイットマンの位置づけを大ならしめる「新しい偉業」になると思う。