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おれたちの青空
 
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おれたちの青空 [単行本]

佐川 光晴
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

『おれのおばさん』続編、少年たちの旅立ち篇!

第26回坪田譲治文学賞受賞作『おれのおばさん』待望の続編! 札幌の児童養護施設に暮す中学生たちも受験の時期。悩み迷い、新たな人生に踏み出してゆく。爽やかな感動が胸を打つ青春小説3篇収録。

内容(「BOOK」データベースより)

父親が服役中の陽介、虐待の記憶に苦しむスポーツ万能の卓也。札幌の児童養護施設「魴〓舎(ほうぼうしゃ)」に暮らす仲間も高校受験を控え、悩める時期を迎えている。ある大雪の朝、卓也は「家出」を敢行するが…(「小石のように」)他全3篇。高校進学への迷いと未来への希望―陽介と卓也に旅立ちの時が来た。第26回坪田譲治文学賞受賞作『おれのおばさん』に続く感動の青春小説。

登録情報

  • 単行本: 232ページ
  • 出版社: 集英社 (2011/11/4)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4087714276
  • ISBN-13: 978-4087714272
  • 発売日: 2011/11/4
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.8 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 107,693位 (本のベストセラーを見る)
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By カブ
「おれのおばさん」の続編。前作の主要登場人物の3人が語り手となり、それぞれの視点による3つの中短編から構成されています。前作の書評でも指摘されていましたが、本作品では語り手の内面描写にさらに重きがおかれ、そのために物語としては物足りなく感じました。けれども作者のメッセージには全面的に共感できます。本文から引用します。「ここではないどこかに理想的な世界があるわけではなく、人生にはこれを達成したらOKという基準もない。そうではなくて、今ここで一緒に暮らしている仲間たちのなかでどうふるまうかがすべてなのだ。」

本作品は主人公たちのさらなる成長への前奏という感じもして、どうしても続編が読みたくなりますが、この作家にはすでに「ぼくたちは大人になる」という、(境遇は異なりますが)別の高校生を主人公とした作品があり、これは物語性もすばらしく、私の一押しです。私事になりますが、私はこの作家とほぼ同年代なのですが、今後もこの作家の新作を読みながら、自分の子供と共に成長していければと思いました。
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札幌にある小さな児童養護施設「魴'舎(ほうぼうしゃ)」を運営する恵子おばさんと、そこに世話になる中学生他十数人、それぞれの物語。
個々別々の過去、生い立ちを持ち、この施設に辿り着き、そして、高校入学と伴にここを出、あちこちへ巣立っていく。
養護施設に入る訳だから、親にトラブルを抱えた子達ばかり。来たくてここに来ている訳ではない。
しかし、恵子おばさんの実直でエネルギーに満ちた人柄や、関係者達の助けによって、ひねくれた衣を脱ぎ捨て、明るい光を真っ直ぐに目指し、出ていく。
そして、その恵子おばさんも、逆境を生きてきた。
そんな、それぞれの物語が、特殊な構造で描き出される。

第1章「小石のように』は、児童虐待を受けてここにやってきた卓也が、ある事をきっかけにして魴'舎を脱け出す。
雪が次第にひどくなる北海道のあちらこちらをふらつきながら、自分の幼少時代や、実の両親だと思っていたのが養父母だった事等を想い出し、物語る。
人称は「おれ」である。

第2章は「あたしのいい人」で、恵子おばさんの語りになる。人称は、タイトル通り「あたし」。
どうしてこの養護施設を開く事になったのか、その訳は、彼女の子供時代から語り起こされる。そして、北大の医学部を中退して迄深入りした演劇。

第3章が、小説全体の題となった「おれたちの青空」。
やはり魴'舎に世話になる中学生、陽介の物語。
人称は、やはり「おれ」。
異なる人称で語られる事で、養護施設が、そこに住む人たちが、より立体的に、読者の頭の中に構成される事となる。

他の2章が100ページ前後あるのに対して、第3章は20ページ程しかない。
それは、第1章で卓也が、第2章で恵子おばさんが、彼等自身の物語の中で、少しずつ陽介について語っているからでもあるが、敢えて充分には語り切らないようにした、という側面もあるかもしれない。
その訳は、後で少しばかり触れる事になるだろう。

前知識なしにこの小説を開くと、目次には3つの題が並べられていて、そこには1章とか2章だとかの表記がない。
だから、3つの別の物語が入った短編集なのかとも思ってしまう。
語り手が違うから、取り敢えず何処から読み始めてもいいかもしれない。
例えば第3章からページをめくり始めた人は、しかし、やはり、第1章からもう一度読み直すだろう。

同じような意味で、この本には、先立つ書が1冊ある。
2010年に書かれた『おれのおばさん』だ。同年に、坪田譲治文学賞を受賞した。
タイトルの「おばさん」が、恵子おばさんである事は、容易に想像がつく。
私は知らずに『おれたちの青空』を読み始めたから、『おれのおばさん』も読んでみようという気に、今はなっている。
そして、この『おれたちの青空』も、”これでお終い”という風でなく、魴'舎に世話になる少年少女のまた別の人物から語られたり、ここを出た彼等が、どう世の中とぶつかり、どういう答えを見出していくか、その人生と心の成長の様子が物語られていくのに違いない、と、勝手に思ってしまう。

卓也は青森の高校にバレーボール選手として、陽介は仙台の私立に特待生として、彼等の人生はまだ始まったばかり。
そして、恵子おばさんも、波乱に満ちた人生の半ば、答えを出さずに中途で放っている事柄が・・・。

順序は読者の都合と偶然でいいだろう。
人と本の出会いも、人生と同じで、偶然に支配されているのだから。

勿論この書単独で読み終える事も許されていて、作者は、単体としての評価も甘んじて受けなければならない。
そういう観点で言うと、この『おれたちの青空』は、第1章が出色だ。
人間を衝き動かす不分明なものが物語に潜んでいて、それが卓也の行動と心理を引き摺り回している。
このありさまには、読者も暴力的な迄に胸を衝き動かされる。

それに比し、第2章の恵子おばさんの語りは、平板な説明が多く、自己正当化が感じられる。
全体の基礎になる部分としてまずそこを固めてしまい、彼女よりも、少年少女の物語をその礎の上に羽ばたかせたかったのか、それとも、この続篇で、おばさんも、自分の平板な語りでは済まなくなるのか。
それは判らない。
 
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