スピッツの楽曲にはいわゆる「捨て曲」がない。
一言で言えばスピッツは非常に安定感があるバンドである。
また聴き込めば聴き込むほどに味わいが増してくる不思議な曲が多く、
彼らの楽曲がすぐに忘れられるであろう話題性重視の流行りの曲とは一線を画していることは明らかだ。
少なくとも僕はそう思いたくなる。そんなバンドの3rdスペシャル・アルバム『おるたな』だから、低評価にする理由が無い。
シングルB面特有のポップなアップテンポ・ナンバーらは一つのアルバムとして並べられた時に本領を発揮する。
『色々衣』での「ムーンライト」「春夏ロケット」等、一般のスピッツのイメージとは懸け離れた作品も違和感無く収まったように。
どれか一つだけ傑出した名曲があるというわけでもない。あの『名前をつけてやる』のように優劣つけ難いのだ。
アコーディオンやホルンといった効果的なアクセントの使い方にも脱帽だ。
哀愁を誘う「夕焼け」やひたすらつっ走る「シャララ」もいい。
他には、「まもるさん」や「ラクガキ王国」でのサビへの持っていきかたが気に入ったので何度もリピートして聴いてしまった。
オリジナルに勝るとも劣らないカヴァー曲群もいい味を出している。
普通カヴァー曲というのはオリジナルのイメージを払拭できないで中途半端になっている場合が多いのだがスピッツの場合は違う。決してオリジナル曲のイメージを崩すことなく、スピッツ特有の爽やかさや力強さを感じさせることに成功している。
「12月の雨の日」も無表情なようで感情を込めた歌い方が独特。
はっぴいえんどは『風街ろまん』しか聴いたことがなかったのだが、1stアルバムも聴いてみようという気にさせられた。
ただ今回はこれまでのスペシャル・アルバムにはあったインディーズの頃の音源が収録されていなかったのが少し残念だったので今後に期待したい。