魔法使いにもらった種から咲いたチューリップの中にいた、小さなかわいらしい女の子「おやゆびひめ」。あまりのかわいらしさに、ヒキガエルにさらわれ、コガネムシに捨てられ、森で一人で暮らし、やっと野ネズミの家に入れてもらったけれ…… 。
うーん、改めて読んでみると、おやゆびひめは、愛らしさゆえに運命にもてあそばれていたのですね。最後に王さまと結ばれるとわかってはいても、陰気なモグラとは結婚したくないと泣く姿は本当にかわいそうだし、傷ついたツバメを世話するけなげさには、胸がいっぱいになってきます。
挿絵は、アンデルセンの母国デンマークの画家さんが手がけており、ヨーロッパの香りにあふれて、原作の雰囲気を忠実に伝えていると思います。とくに動物たちがとても生き生きと描かれ、「みにくいヒキガエル」の迫力、「ツバメ」の端正さは、最後にやっと出てくる「花の王さま」に負けていないという感じ。
テキストはほぼ原作どおりなので、少々長めですが、エピソードごとに盛り上がりがあるので、適度に区切って読み聞かせできそうです。