「おやつ」と銘打ってあるだけでどこにも焼き菓子とは書いていませんがほぼ焼きっぱなしのお菓子揃いです。著者の呼ぶところの「ウルトラ・セブン」である、サブレ、マドレーヌ、フィナンシェ、バターケーキ、シュー、塩タルト、折りパイの7種からアレンジするバリエーションとシフォンやロールケーキ、カステラなどもあり、小さいバリエも含めると70以上のレシピが載っています。それを前述のウルトラ・セブンから整然と派生させるところが読み手にも大変わかりやすくて、著者はとても頭のいい人だと思いました。レシピには著者のアレンジが加えられてひとひねりあり、材料数も多くなくて作りやすそうです。パイの部ではししゃもに巻いて焼いた写真もありユーモアもたっぷりです。
著者は新聞記者を辞めてフランスにお菓子修行に行った方なので、レシピに本場の香りはするのですが、全体的にフランス菓子の華やかさがありません。著者の気取らないお人柄を反映しているのかもしれませんが、良く言えば素朴、悪く言うと無骨な感じで、ノンアレルギースイーツのレシピ本のようなルックスです。そして物書きだった方らしくエッセイが挿入されていますが、ちょっとクセがあるというかある種独特のカラーがあるので、気になる方は共感できない可能性があると思います。もともとファンだった方にはユーモアたっぷりと感じられる表現も、そうでない人間は特殊な言い回しにちょっと引いてしまう感じ。そしてご自分では「落ちこぼれ」と称しているにも関わらず、あまりにも「元新聞記者出身」にこだわり過ぎてると感じました。お菓子のレシピにはあまり関係のないことです。巻末の著者のプロフィールを見て確認する程度でいいのではないでしょうか。これは一応エッセイ本ではなくレシピ本なので、このあたり好みが分かれるところだと思いました。