お江戸のスラム、今にも崩れそうな長屋に住む乞食集団であり、また砂絵師のセンセーを中心とした探偵集団でもある「なめくじ長屋」の面々が活躍する「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズ第8弾。
物語を支える豊富で緻密な時代背景の描写と、また摩訶不思議な怪談のような謎が、きちんと解明されミステリーとしてしっかりと成り立っているのがこのシリーズの特徴である。
庶民生活の一面や、迷信などが登場し、物語に深みを持たせている。事実、このシリーズの8冊目になるが、面白さは一向に衰えていない。
第四席「いもり酒」では、タイトルになっている「いもり酒」が精力増進の効果があると信じられていると紹介し、またある一編では女性の同性愛からくる悲しい事件がある。
カラッとした性的描写がおかしくもあり、また生々しくもある。一方で、この時代にも人間の愛欲がさまざまな事件を起こしたというところに、時代は違えど今の時代との連続性を感じさせる部分である。