小田原の小さな飲み屋で、あいしてる、と言うあたしを尻目に生蛸をむつむつと噛むタマヨさん。「このたびは、あんまり愛してて、困っちゃったわよ」とこちらが困るような率直さで言うショウコさん。百五十年生きることにした、そのくらい生きてればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうし、と突然言うトキタさん……ぽっかり明るく深々しみる、よるべない恋の十二景。
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入れ込みすぎると、きっとこういうものは逃げていってしまう。
感情の激しさと、文体の激しさとは別物なんだ。
彼女の作品のほかに類を見ない独自性、そしてそれを文学として成立させている彼女の才能はもはや天才といって過言ではないと個人的に思ってます。「センセイの鞄」のような一般受けを狙ったともいえる作品も悪くないと思いますが、本作や「椰子椰子」のような作品こそ川上弘美の真骨頂ではないかと思います。恋愛小説は僕の興味の範囲から逸れますが、読む価値のある一冊であることは間違いないです。
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