江戸の大店の病弱な跡取り息子、一太郎と
彼を過保護なまでに守る、妖怪の手代・仁吉と佐助たちが
活躍する、時代ファンタジー。
今回も引き続き、短編集。
五本入りです。
人にも妖怪にも嫌われる妖・狐者異が登場するほろにがいお話「こわい」、
以前登場した厚塗りの少女お雛さんと屏風のぞきがメインの「畳紙」
二人の手代が現れる前の、幼い一太郎と栄吉の冒険話「動く影」、
吉原の禿の足抜けを一太郎が手伝う「ありんすこく」、
大粒真珠の盗難と一人の鳴家のかわいい冒険の「おまけのこ」です。
「こわい」のお話の中で、佐助たちが栄吉を褒め、
一太郎がうらやましがる場面など、
一太郎が成長したがっている様がリアルに感じられました。
「ありんすこく」での活躍ぶりといい、とても甘やかされていても
自分の力で算段をつけられる一太郎が、すごくいいです。
小さいころの一太郎たちの冒険話や
屏風のぞきが活躍する話などの、イレギュラーなお話も
あたたかく、どこかリアルで切なく、しみじみ楽しめました。