「ぼく」がお風呂に入ると、湯船から「赤いネクタイ」の男の人が現われ、次には葉っぱと一緒に、ジャングル探検中らしいボートに乗ったおじさんまで出てきて……。
松岡享子さん・林明子さんの名作『おふろだいすき』の対極にあるかのような、出久根育さんの幻のデビュー作。今とは印象の違う、かなりリアルな劇画風で、お風呂がこの本に似た家では、けっこう怖いんじゃないかと思いました。
「のっぺりがお」のせっけんに救われてほっとお湯につかったとたん、別のおじさん、おばさんがうわっと出てきたり、赤いネクタイ男がお風呂のふたを閉じながら、湯船に沈んでいく場面……。お風呂って異空間なんだ、何が出てくるかわからない場所なんだ、と改めて思ってしまった。読み聞かせるなら、明るい雰囲気か、わざと暗い雰囲気も子どもにはうけるかも……。