「おひさまはらっぱ」で起きる小さな出来事が九つの短編で語られます。そこにはぐりとぐらも住んでいて、常連さんはチューリップ保育園の子や、うさぎ、くま、三つ子のこぶた、おさる、時にはゆきだるま…… 。
おとなりに越してきたきれいなおばさんが気になってしかたない女の子『さちこちゃん』の話、綱渡りも綱引きもできるし、長い汽車にもなってくれる不思議な『とってもいいなわ』の話、雪野原をころがっているうちにみんな「えいようまんてんのゆきだるま」になってしまう『ゆきだるま』、「大きな大きなスポンジケーキ」を焼いたのに、恥ずかしがり屋さんで、誰も自分のお誕生日に呼べない『くまのたんじょうび』の話…… 。
中川さんはいつでも、子どもたちの喜びやちいさな悩みを、きれいでわかりやすい言葉でスケッチし、親しげに差し出してくれます。この本を読むと大人でさえも、こんな世界があるのかもしれない、いや、昔自分もこんな世界にいたのだ、と幸せな気分に浸ることができます。
困ったときにはタイミングよく魔法がかけられ、世界は子どもが幸せになるように姿を変える――その魔法の登場のしかたが、本当にやさしくて胸にしみてきます。大人こそ、そういう魔法使いならなければ、と思わされる愛情深い本です。