オーストラリアの絵本作家フォックスさんと絵本画家ビバスさんの女性コンビが著した心に温かな感動を呼ぶ絵本です。
まだとても小さい男の子ウィル坊やは家のとなりの老人ホームに住む大勢のお年寄りの人達となかよしでした。とりわけ自分と同じで4つの名前を持つナンシーおばあちゃんが大好きでしたが、ある日両親がおばあちゃんの記憶がなくなってしまったと話しているのを聞きました。
この絵本で素晴らしいと思うのは、ウィル坊やが小さくて知識がないので謙虚に「記憶」についてお年寄りたちに聞いて回る所、大人の様に簡単に結論を出して「もう駄目だ」と諦めてしまわずにナンシーおばあちゃんに接して行く所です。記憶に関する手掛かりと言ってもそれはミステリーの謎を解く様な物ではなく、雲をつかむ様な決まった正解の無い問題ですから、誰にとっても解決するのは容易な事ではないでしょう。この物語の結末で起きた奇跡の理由については、ウィル坊やが無意識に取った行動がおばあさんの記憶を刺激したという科学的な分析が出来るのでしょう。でも非科学的にはなりますが私はやはり「おばあちゃんの記憶がもどって欲しい」と願う男の子の強い思いや熱意が心にとどいたのだと思いたいです。まだ小さな男の子と年老いたおばあさんの心がふれあいしっかりと結びつく人生の一場面を描いたささやかだけれど心に温かな感動を呼ぶドラマの絵本をあなたもぜひお読みくださいね。