いま、私たちおとなは、子どもたちの「いのち」を「自然」のリズムで育てることが難しくなってしまいました。子どもたちは、便利で簡単で効率的なことが「よし」とされるおとな社会のリズムのなかで、奮闘しながら生きています。
「ほっておいても子は育つ」のかもしれません。けれども、子どもをよく見ていると、姿勢の悪い子、からだや顔がゆがみ、鼻がつまって口を開いたままの子、視力のよくない子、他人の話を聴きとる力の弱い子、手先の不器用な子が目につきます。
こうしたからだの面だけでなく、すぐにかんしゃくを起こしたり、泣きだしたり、暴力をふるったりする情緒の不安定な子、相手の気持ちを感じるとるイメージ力の乏しい子など、こころ面で心配な子どもたちにもよく出会います。
現代は、おとなが意識して子ども「いのち」を護り育まなければ、「いのち」が人間として育たない時代です。そしてまた、子どもたち自身が「いのち」の力に気がついて、「いのち」を大切にするこころやからだのつかい方を身につけなければ、人間らしく生きることが難しい時代なのではないでしょうか。
ヨーガとは「こころの働きを止滅すること」と古典が定義するように、頭だけであれこれと考えず、「いるち」の声に耳をすませるプロセスそのものをさします。子どもたちにとっては、「からだ・いき・こころ」というもっとも身近な「自然」にふれるあそびの時間になります。ヨーガは原始感覚を呼び覚まし、脳を活性化し、姿勢や呼吸を整えて情緒を安定させます。
子どもたちは、楽しいヨーガあそびをとおして、自らの「いのち」が快適である状態がどのようなことかを知り、「いのち」の支えを感じ、「いのち」の力を信じることができるようになるでしょう。
子どもには、一生をともにすごす自分自身の専門家になってもらいたいのです。ヨーガで得られる感覚への「気づき」をとおして、自分の「いのち」の力に気づき、友だちの「いのち」の力にも共感できる、豊かでキレイなこころとからだをもったおとなへと成長するよう願っています。
伊藤 華野
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