実話を基にした、難病で死を迎える少女とその兄の物語ということで、監督も知らないし臭い『お涙頂戴映画』を心配しつつ、高良健吾が『引きこもり』役を演じる意外性と谷村美月の確かな演技力で、ダメ映画にはならないだろうとは思っていました。
ストーリー的には、ヒネリは殆どなく思ったとおりに進みますし、確かに、難病ものであり、家族の再生の物語である訳ですが、あからさまな泣かせの部分はなく、好感を抱きながらもなんだか目がウルウルしてしまう感じ。
病弱だが、明るく誰とでも直ぐに友達になってしまう妹と、不器用で引きこもりだけれど本当は心優しく妹思いの兄。メインキャストはもちろん、それ以外の登場人物すべてにきちんと背景があり、その生活ぶりまで想像できる程、係わる人達の心の在り方を、素直に丹念に描いて好感。
兄妹ならではの、コミカルで絶妙なやり取りが楽しかったです。田んぼの坂道を、兄妹が自転車で駆け下りて行くシーンは特に印象的でした。そして、人と人とのつながりに心がじんわりして、そのじんわり感は、雄大で美しい花火の打ち上げとともに昇華されます。花火の美しさが、心にしみじみと広がります。
新潟県の『片貝まつり』のことを詳しく知らなかったのですが、人口5千人の町で世界最大の4尺玉とか2万発の打ち上げと、スケールは大きいのに、とってもアットホーム。住民が身銭を切り、お祝いごとや供養の為に花火を打ち上げるなんて素晴らしいですよね。
エンドクレジットで流れる藤井フミヤの曲が、またじんわりとさせます。