コミックガム連載中の和風バトルホラー作品。
ふとしたきっかけで神器の一つ「朱雀の弓」を宿すことになった主人公・駿河妖介と、物の怪の類を見る能力「見鬼」の力を持つヒロイン・因幡よもぎを中心に、人を襲う「眷族」と呼ばれる妖怪との戦いを描いた作品で、陰陽五行説を活かした世界観や神器・奉り人・眷族等に関わる設定の妙、妖怪の特徴をフルに活かしたバトルが繰り広げられる事による息もつかせぬストーリー展開、オリジナル妖怪やキャラクターのデザイン、アクションシーンの構図等に表れる描写能力の高さがとても魅力的な作品です。
第1巻では、まだまだ主人公達が事態を把握する事無くバトルに巻き込まれている状態だったのですが、今巻から少しづつ謎の解明が行われ、世界観が語られ始めます。まだまだ序盤ではありますが、先の展開に期待をさせるだけの魅力的な素養を随所に感じさせてくれるのは嬉しいですね。
この作品内で著者・井上淳哉氏が描きたいものは「人が食うか食われるかという命懸けの戦い」と「友人同士のドタバタによる学園生活の楽しさ」との事ですが、この2巻に収録されている「辛の章」は後者の要素が比較的強い内容となっています。実はストーリーが進んでいくに従って、どんどん前者の要素が強くなっていってしまいますので、ある意味この章の存在は貴重ともいえます。
辛の眷族・海神は他の眷族に比べると凶暴性が薄く、バトルそのものに他編ほどの緊迫感は無いのですが、その分古の伝承や因習と言った民俗学的な要素や、キャラクター心理の細やかな描写が楽しめる内容となっています。全体の中では異色と言えますが雰囲気は充分に楽しめました。
また、妖介やよもぎが割と脇役的な扱いで、メインが磐城静香になっているのもかなり異色ですが、彼女をはじめとする一般生徒が眷族とのバトルに巻き込まれるきっかけとなっているストーリーでもありますので、存在意義は充分感じられますね。