コミックガム連載中の和風ホラー&バトルアクションコミック。
著者の井上淳哉氏はCAVE製アーケードゲーム『プロギアの嵐』『ぐわんげ』『ESPRADE』のキャラクターデザイン担当として知られる一方、映画『妖怪大戦争』に妖怪デザイナーとして参加していた方であり、その魅力的なデザインセンスに多くの固定ファンを獲得している描き手さんです。
この『おとぎ奉り』と言う作品は、『ぐわんげ』っぽい和風のテイスト、『ESPRADE』っぽい登場人物を持ち、CAVE時代からのファンには実に嬉しい要素の多い作品ですが、決してそれだけではなく、しっかりキャラ付けのされた登場人物群、『妖怪大戦争』でも証明された実に魅力的なデザインのオリジナル妖怪群、バトルアクションーンにおける秀逸な描写力や、容赦のないスプラッタシーンとほのぼのとしたコミカルシーンのアクセントの妙等、実に見所の多い質の高いコミック作品だと評価しています。
今巻は物語の端緒として、主人公・駿河妖介、メインヒロイン・因幡よもぎの紹介と位置付けられます。妖介が神器の一つ「朱雀の弓」を入手する過程と、それに伴う代償と言う最も根本的な設定は描かれていますが、まだまだ世界観の全体像は見えてきません。いくつかの意味深な単語が語られますが、その説明はこの先の巻となります。しかし先の展開に期待を持たせるに充分なアクションシーンとキャラクター像が描かれていますね。
「己の章」では猫蜘蛛という眷族、「庚の章」では陽炎と言う眷族が敵役として登場しますが、どちらのデザインも非常に印象的です。猫蜘蛛はその名の通りのデザインですが、"守人"と言う和人形風の手下を無数に従えており、その無機質な表情がより恐怖感を高めていますね。陽炎は目玉の本体に、無数の蜻蛉が群がって形作ると言う設定。手抜きのない細かな描写が好印象です。
この先世界観が紐解かれていく事に期待が持てる作品です。