リリースを知った時、待ちに待ったライブ作品、ようやく!!!と、大変、嬉しく思いました。
ライブDVDは初ですが、屋久島の森でのコンサートを企画されたり、他のミュージシャンや、
ボーカリストとの共演、その他にも、本当に多方面にて精力的に活動なさっているんですよね。
作品リリースのタイミングはまちまち、安定しない印象もあるかもしれないけども、シングルや、
アルバムをコンスタントに出すことだけが音楽家の仕事ではないと、この方を見て、感じます。
むしろ、様々な活動による経験から、自然に生まれてくる言葉や、音を一つひとつ丁寧に紡いで、
世に生み出しつづけている希少な音楽家だと、私は思っています。
聴く人がいて、はじめて音楽が生きる、心が伝わる。
そんな真摯な姿勢が伝わってくる、そんなライブだったと感じました。
歌声の素晴らしさは、池田綾子さんをご存じの方なら最早言うに及ばずですが、やはりこの方の
ボーカルの安定感と、歌の説得力、言葉の美しさは、ブレることがないなと、改めて感じました。
心を掴む歌声、というのは、まさにこういう歌声の事ではないでしょうか。
ミュージシャンの方々も、サウンドプロデューサーTATOO氏をはじめ、いつものレコーディング
ミュージシャン方が、このライブの世界を支えていますが、CDを忠実に再現というわけでなくて、
よりシンプル、より洗練されたアレンジ、サウンドが、ライブの世界観にとてもマッチしていて、
とても心地良かったです。
舞台装飾や衣装なども、「おとぎふと」とあるように、まるで、「おとぎ」の国を想わせます。
木や毛糸など自然の物を使った温かみのある素朴なアートで、牧歌的な雰囲気を醸し出しつつも、
琴や尺八とのコラボレーションでは、しっかりと「日本」の香りを感じさせてくれる。
柔軟でバリエーション豊富ながらも、しっかりとした世界観を見せてくれる所も魅力的でした。
MCは多くはありませんが、代わりに、ライブの準備風景、舞台、照明、音響に携わる全員により、
このライブの世界が作られているという事を、池田綾子さんご本人によるナレーションにより、
楽しむことができます。
ただ、ひとつ気になったのが、パーカッション。
数曲ですが、若干響きすぎる打楽器に、単調な音階が生まれており、せっかくの美しいコードの
流れが打ち消されているかな?…と感じた曲が4曲ほど。数え歌、星降る森、灯、心の糸、など。
しかし、曲の途中から、響かせ方を控え目にするなど、パーカスの方も調整されておられましたし、
そもそも、私の気にし過ぎなのかもしれません。
イヤホン、或いはヘッドフォンで聴けば、その違和感もさほど気にならない…と思います。
ともかく、そんな事すら瑣末に思えるほど、夢中になった1時間44分でした。
欲を言えば、もっと聴きたいなんて贅沢過ぎることを思ったりしますが、実際には1stアルバムの
「Water Colors」から最新の「gradation」まで、懐かしいものから最近の名曲まで、数々の歌を
楽しむことのできるライヴ作品です。こんな満足感は、なかなか味わえません。
まさに、「おと」の「ぎふと」と呼ぶにふさわしい、オススメの名盤です。