非常に読み応えがあった。たしか「ショート・ショート」の星新一が「短いものほど手間がかかっている(だから、原稿料を原稿用紙の枚数で決めるのはおかしい)」と書いておられたが、瀬名秀明初のエッセイ集は、2000字程度のエッセイでも密度が濃くて、続けていくつも読み続けるのが難しかった。それは内容が「難解である」という意味ではない。いろいろと考えさせられることが多く、立ち止まって自分を振り返りつつ読むことになったからだ。「はじめに」の中で著者は「いまでも私はエッセイが苦手だ。わずか数枚の依頼に悩むこともしばしばで、小説を書く方がよっぽど速く筆が進む」と書いておられるが、そんなことはない。小説家であることに加えて、科学技術コミュニケーター育成プログラムの講師をしたり、朝日中学生ウィークリーに寄稿されたり、東北大学工学研究科機械系の特任教授を引き受けたりという瀬名さんの「伝える想い」が詰まった言葉が詰まっている。装丁も素敵。鈴木秀ヲという方のカバー写真は、いったいとこから見つけてきたのかと思うようなファンタジーのあるもの。