『おたふく』は、日本経済新聞の連載時から読んでいました。
改めて読みなおしても、母や祖母のおにぎりが食べたくなり、なおかつ経済って面白いんだと思える本です。
時代背景は、江戸時代の寛政の改革の頃。松平定信が行った棄捐令(単純に言えば、武士階級への借金取り消し)が、江戸に大きな不況を起こします。
江戸幕府の米を基本とした経済とは別の貨幣経済が、町人の中に発展してきたため、それへの危機感がこの暴挙になったわけです(この事件では、米を取引する札差を攻撃した)。では、なぜ不況となったのか?。理由は近代経済の基本『富の再分配』にあります(本文中では『おたふく』(多くの福を分け合う)と描かれています)。それを、不況の中でおいしい弁当作りに挑む家族の、必死の努力とこころざしが人々の心に灯をともし、『富の再分配』すなわち経済の正常化へのきっかけとなっていきます。日本の行政や経済の基本がぐらついて見える今、ぜひお勧めしたい一冊です。