単行本派だったので、いきなり書店で目にした「第一幕完」の文字には面食らいました。
理由はあとがきにありますが、TVドラマ化された際のその出来や制作者達の意識の持ちように絶望したように感じられました。作品は自分の子供と同じなのに、強制的に縁談を用意されて幸せになるならばと渋々嫁に出したら、嫁とは名ばかりの体のいい「人買い」だったことへの、物書きとしての絶望感だったのでしょうか。当時は連載も中断してたようですし、あとがきには「いっとき本気で漫画家やめようと思いました」ともあります。「おせんを何事も無かったように続けることは物書きとしてどうしてもできず、ここでいったん幕を引くことをどうかお許しください」とも。
私はドラマ版は第1話を観て『あ、こりゃ駄目だ…』と思って後は全く観てなかったのですが、その後の展開もひどかったのでしょうかね。
寄りにも寄って、日本の伝統文化や食文化、職人の誇りをテーマの横軸にした漫画なので、それらをないがしろにするTV局と出版社の商業主義に原作者として反発するのは分かるし、筆を折ろうと決意する処まで精神的に追い詰められたこともファンとしては哀しい限りです。
私は漫画おせんの第1話の相撲取りの話、最後の白星2つを願っての白玉2つの粋さ加減にハマって読み続けようと思ったクチです。世の中は哀しくて汚いことも山ほどあるけど、少なくとも少しは良いものが残っていることを漫画で主張するおせんがある限り、読み続けようと思ってます。
これから仕切り直して新たに始まる第2幕「おせん 真っ当を受け継ぎ繋ぐ」で『本物』を描き続けていくことを楽しみに待ってます。今回の本枯節で仕上げた鰹茶漬けは本当に美味しそうでした。