このマンガ、と〜っても素敵!!と初めに言っておく。
絵柄や、取り扱っているテーマに少々とっつきにくさはあるものの、
そんなのは数話も読めばもう気にならないだろう。
むしろ非常に味があって、読み進めるほどに魅力にハマるはずだ。
まず、登場人物が非常に魅力的。
笠木の宿『一升庵』の女主人「おせんさん」が主役。
町で一番の超美人で、料理の腕も超一級、生粋の大和撫子、
仕事に関しては命をかけるほど情熱的、
町の人にはとても愛され親しまれている有名人、
それでいて、普段はかなりドジでお茶目と、とても魅力的な人物(笑)
その他の登場人物も、外見も中身もとても味があり、
物語にいろとりどりの華を添えてくれている。
物語は主に、一升庵で修行を積むことになった冴えない
イマドキの青年『江崎くん』の視点で進む。
一升庵で働く様々な仲間や、町にすむ様々な人々も係わり合い、
時に笑いあり、時に学ぶことあり、ときに感動ありの、魅力的なドラマが
数多く産まれていく。
登場人物も魅力的だが、それ以上に、各話ごとの『テーマ』が奥深くておもしろい。
日本人がとうの昔に失った「和」の心が、とても分かりやすく、
それでいて深いところまで掘り下げて描かれている。
前述のように、イマドキの青年江崎くんの視点で物語が掘り下げられていくため、
同じくイマドキの人間である我々が読んでもよく分かるわけだ。
『和』といっても、堅苦しい物でも、重苦しい類のものでもない。
シキタリやワビサビといった、理解しがたい物もほとんど出てこないので安心。
この作品に登場する『和のココロ』とは、ほとんどが
「素直な心で物事を見なさい」といったテーマである。
この作品を読めば、現代人がいかにひねくれているのかがよ〜く
見えてくるのが、なんともおもしろい。
作者きくち氏は、現代人がなかなか気付かないところをチキチク刺す、
非常にイイ『眼』をお持ちのようだ。
とても素敵な、和の哲学のこの作品で触れることができ、
私は予想もしなかったほど感動した。
絶対に、読んで損の無い本作。
人間を大きく丸くしてくれる、とても素敵なマンガだ。