京都本は食傷気味ですが、「おじさんの京都」というタイトルに思わず手を伸ばしました。
編集スタイルは、昔から口コミ情報を数多く取り上げてきた京阪神Lマガジン特有の雰囲気が誌面に漂っています。2009年11月14日に発売されたものですが、時計の針が大きく数十年遡ったかのような懐かしさとレトロ感が溢れていました。様々な老舗のお店がそのままの姿で残っているのを確認した本でもありました。
安西水丸の文と絵、松山猛のコラムなど脱力系であり、ゆったり系の雰囲気は語る人と訪れるお店の取り合わせで醸成するようです。今も昔も変わらない姿で日常を営んでいる京都のお店との再会もありました。レトロな喫茶店での一こま、専門書を集めた古書店での落ち着いた対応、銭湯を改造した不思議な空間のカフェなど、おじさんならずとも訪れて、しばしまどろみたい空気感が漂う京都。喧騒とは無縁の空間に身を置きたい人にはおススメの内容でした。
新書判で、レトロな雰囲気が漂う紙質と色合いで、歩いて廻る京都の旅にぴったりの軽さが嬉しい配慮です。
登場するお店を列挙するときりがないので省略しますが、実に厳選してあるのは確かです。特に大人の雰囲気が漂うお店ばかりで、どこを訪れても失望することはありません。落ち着いた雰囲気を好み、有名寺院を駆け足で巡る旅とは対極にあるゆったりとした過ごし方の提案のような趣が感じられます。
オールカラーで、豊富なイラスト、雰囲気のある写真、ひとり言のような説明文も惹きつけられます。掲載店の住所、電話、営業時間、定休日、地図などの情報は当然ながら網羅してありますので、旅のお供には有用でしょう。