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私が特に共感したのは「初心者は辞書を引くより,単語リストのある本を読む」という点です。初心者は辞書を引く作業だけでも相当の時間を要するので,それだけで面倒になり嫌気がさしてしまうというのは,私自身も経験しましたし,また多くの学習者が感じている点ではないでしょうか。
さらに著者は大学生の実状にも触れていますが,中学1年レベルの英語力がない大学生は現実にたくさん存在します。そういう学生は英語の試験を「英語を覚える」ことではなく「日本語訳」を覚えることで乗り切って来ていますが,これは「訳読」中心の教育がもたらした弊害ではないかと思います。
この本はぜひ大人の語学学習者に読んでもらいたいと思いますが,若干宣伝のような感じを受けるのが残念な点です。(もちろん宣伝ではないのですが)
「オケイコゴト」が若年層のみならず、熟年層のあいだでもブームになってきた。カルチャー狂いの世のおばさん族にとっては、いまさらなにも珍しいことではない。だが、濡れ落ち葉と邪魔者扱いされつつあるおじさん族よ、ワイフを連れた海外旅行で、レストランでアラカルトメニューを現地の言葉で注文する、それくらいのお洒落心も忘れてくれるな。外国語が話せるぐらいで、国際人にはなれないが、自分の世界は確実に広がる。なにより、新しい自信が芽生えることで、人生がより豊かになる。老け込んでなんていられない。
本書は巷の即実践的な語学案内書とは、一風違っている。
パリに住む孫娘に会いたい一心で、フランス語をならうおじさんの物語というフィクションの形をとり、江戸っ子のユーモアを絡めながら、異国の言葉を、どう自分の動機づけをたもちながら身につけるか、具体的なヒントをあげて懇切丁寧に説いている。
ただ単語や文法を頭ごなしに詰め込んでいけばいい、という小手先の語学教育ではなく、ものごとを学ぶこころ、その基本に立ち戻った視点から、この本は書かれているので、かつて機械的な語学学習に嫌気がさして挫折したことのあるひとにも、ひとつひとつその先入観を改めさせてくれる。
さて、この指南書のとおり、果たして語学が上達するのか。
著者は大学の語学教育研究所で長年教鞭をとっておられる。本書によると、氏の講座に通っていた語学のままならない何人もの学生が、正規留学を果たした、ということであるが、決して誇張ではない。実はかくなる筆者も十余年まえに、氏の講座にせっせと通ったものだ。語学はさっぱりであったが、いまは二つの国費留学を終え、海外で時には三ヶ国語を操って仕事をしながら糊口をしのいでいる。筆者が受けたのは語学そのものを教える講座ではなかったが、外国語のテキストも使い、ものを学ぶこころを教わった。それによって、外国語をさらに学ぶことに物怖じすることがなくなった、と思う。
いくつになっても、ものを学ぶこころをリフレッシュすることで、かつては苦手意識をもっていたことにも再挑戦できる。本書は、まだまだ知的好奇心が旺盛な「熟年の現役世代」をターゲットにしているが、ほんとうは、大学生にもじゅうぶん刺激的な内容である。
「おじさん、〇〇する」シリーズの続編も期待したい。
昔の中学の英語の教科書の日本人の自己紹介は名前名字だったが今は名字名前の順になっている。そんなこともこの本のなかにもちゃんと書いてあり、欧米中心でない語学学習の視点も教えてもらった。
要はこの本を読んで、自分で学習を続けていくかどうかであろう。
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