この本は、元々ある工作機械メーカーが、社員とその家族へのプレゼントとして著者に創作を依頼した本だったそうです。
東北の大震災後、自分に何が出来るかを考えた中でこの本を一般書籍として出版することを思いついて、絵を描かれたはまのゆかさんと二人分の著作者印税をすべてあしなが育英会に募金し、震災で親を亡くしてしまった子供達への支援に充てることにしたそうです。
絵本にしてはちょっと文字も小さく絵のないページもあるので、小さい子向けの絵本ではありませんが、小学5年生の女の子の目を通して見たおじいちゃんの仕事っていうストーリーは、その年頃のお子さんにおススメ出来る内容です。
新しいゲームが欲しいエリカちゃんは、今持っているゲーム機が壊れたと嘘をついて新しいものを買ってもらおうと思ったのですが、アッサリ嘘がバレてしまいます。両親にも叱られましたが、明日おじいちゃん家まで一人で行くように、と言いつけられます。
ちょうど夏休み、エリカちゃんはおじいちゃん家に一人旅をすることになります。おじいちゃん家についておばあちゃんとごはんも食べて寝るくらいになってもおじいちゃんは帰って来てませんでした。
翌朝早くに起こされたエリカちゃんは、おじいちゃんと一緒に会社に行くことを知って「マジ?」と思います。
でも、おじいちゃんに付いて工場へ出勤し、会社の人達から尊敬されるおじいちゃんを見て、おじいちゃんの仕事の素晴らしさも目の当たりにします。お父さんが子供の頃に、おじいちゃんの仕事について書いた作文も登場します。
おじいちゃんの仕事の難しさはテレビで見聞する、いかにも日本人ならではの細やかな配慮の感じられるものでした。そういう多くの人達によって、メイドインジャパンの商品に対する世界の信用度の高さが築かれてきたのだと思うし、私はそういう人達と同じ日本人であることを誇りに思いました。これは、東北大震災の後、世界中が賞賛した日本人の美徳の一部と重なるものだと思うし、そういう点でも著者がこの本を出版するということを思いついた理由なのではないかなと思いました。
この本の中で、仕事をするおじいちゃんの代わりに工場の中を案内してくれた工場長さんが言った言葉が印象的でした。
作ることは、なんでも楽しいんだ。しかも、自分が作ったものがみんなに喜んでもらえたら、もっと楽しくならないか?世の中の役に立ったら?
そう言われてエリカちゃんは「サイコー!」と応えます。だからみんな楽しそうに働いてるんだね、と納得します。
今の日本に求められているのは、こういう「楽しく働く」っていうことなんじゃないかな。そういう時代になるといいな。そう思いました。
おじいちゃんの工場に行くのがどうしてこの日でなければならなかったのか、それも明かされますが、それは読んでのお楽しみということで…。
日本人のモノ作りに励んでらっしゃる技術者さんを誇りに思う本です。