私にとってお守りのような本である。いつも鞄に入れて持ち歩いている。自分に似合うファッションが見つかるまで当て布を補強して紺のパンツを着続けたという話に象徴される著者の姿勢には「この人の言うことは信じてもいい。」と思わせるものがある。安直なファッションエッセイではない。「着る」おしゃれを考えることから見えてくる心豊かな人生のあり方。著者がイタリア滞在中に知り合い刺激を受けた魅力的な女性達の姿に、私も溜息が出るくらい強く憧れる。読後、「私も、もっともっと今よりも素敵になりたい。」と不思議なくらい素直に思えてくる。それだけ著者の読者に向けるまなざしは暖かく、励ましは力強いのである。