日本の社会企業家ではもっとも有名な「フェアトレードカンパニー」代表の自叙伝である。
「エコ」とか「社会企業家」という言葉がトレンドとなる遙か以前のバブル経済真っ盛りの日本で、ごく普通の主婦であった著者が、六本木の外国人コミュニティに違和感を抱きながら、「お茶」を始めるところから日本の文化のすばらしさに惹かれ、ふと立ち寄ったお店の主人と意気投合して、フェアトレードの店を始める。
そして、日本人のためのフェアトレードの洋服を始めようと決意し、バングラデッシュで生産者のところに行って、糸の調達や環境に優しい色素、洗練されたデザインなどを企画して販売するというビジネスをはじめる。
軌道に乗ったところで、これをイギリスのデパートに売り込み、さらには女優を使ってフェアトレードファッションをアピールしていく。
など、その行動力には圧倒される。
本書の圧巻は、「世界でもっとも傑出した社会企業家」として2005年スイスのダボス会議に招待されたときの話である。ダボス会議といえば、いまや世界の最も成功したビジネスリーダーや各国首脳も参加する会議であるが、粉ミルクに反対した企業のトップがオーガニックについて全く知らなかったり、すべての家庭にジムをというピントのずれたCEOの話など、世界のビジネスリーダーの現実世界への認識のなさに衝撃を受け、より一層彼女の活動を広めようと決意する場面である。
彼女のような活動をしている団体には、今でこそ脚光が浴びているが、金融面での支援の少なさには考えさせられる。すなわち、生産者の支援のために、前金で生産委託をしているために、常に資金繰りが大変なのだが、融資できる金融機関が驚くほどないのである。
フェアトレード自体日本ではまだまだ知られているとは言い難い。彼女のようなイギリス人がここ日本で始めた活動を温かく見守っていきたいし、このような運動をさらに広げていきたい。そのためには、一人一人が行動することが大切なのだと感じた。