新創刊「スマッシュ文庫」の特色は主に2つ。まずワンコイン(500円)については、近い内に550円の作品も出てくるそうである。読み手としては、むしろもう1つの「イラスト満載!」の方が気になるところかと思うが、本作では巻頭のカラー口絵こそ標準的ながらモノクロの挿絵が15点あり、他に章第やオマケコーナー的な頁もあって確かに多い。どこまで続けられるか懐疑的でもあるが、強みとして今後も続けてほしいものである。
さて、内容だが、誰でも知ってる童話をベースに、悲しいと言うよりは切ない、しかし芯の強さを秘めた可愛らしい人魚先生のストーリーが、メイドという強力なオプション付きで描かれている。実際のところ先生としてはナナメ上だし、いかにもメイド然とした振る舞いもさほど多くないが、それで本編に支障をきたすことはない。物語はもっとシンプルであり、そもそもこの先生のキャラが実に良いのである。ツンデレは対抗の幼馴染みに譲り、もぅ真っ直ぐとしか言いようのない素直で素敵な愛情を主人公に捧げる癒しの天使である。何しろ元が人魚だからという世間知らず振りが「天然」となって魅力をUPしている。その出会いの経緯から母性愛寄りな感じもするのだが、男的には最も好む女性像の1つと断言したい。マーメイド万歳。
起承転結のしっかりした構成と、主要メンバーのそれぞれに秘密があることでどんどん読み進めてしまう魅力はあるが、さすがにオチは少々軽過ぎなのと女性寄りな理屈で主人公が少し不憫だったかも?あと、主人公を巡る女性陣の関係が途中から変わるのが本作というか先生らしいのだが、これにより今後の伸びしろを1つ摘んだような気もする。この先生と1冊だけでお別れするのは寂しいのでシリーズ化を希望するのだが……。途中から出てきた先生の妹は極めて特異な属性の持ち主。最先端らしい……。