これほど彼女の歌声が優しいものだとは、今まで気付かなかった...
最初の第一声から流れ出すその温かみのある歌声は、いつかどこかで触れた
瑞々しく優しい風景。ユーミンこと松任谷由実とのコラボがここまで自然に実現し、
そしてそれさえも自身の中で成熟してきたものと無理なく調和させるばかりか、
あまりのその親和性に、彼女の存在のきらめきを改めてリアルに実感させられる。
何もかもが懐かしくて、思わず泣きたくなる。特にすべてを超越し、心のままに
真実を語りかける優しくあたたかい歌詞。2番Bメロの「空の上に〜」のくだり、
この手で確かに感じられるものに、いつしか還元されていく夢見た軌跡(奇跡)――。
この部分に静かな鳥肌が立つ。そして「おかえりなさい」その言葉の意味を知る。
思い出に振り向くことと変わっていくこと...どちらも間違ってはいない、決して。
「生きることは忘れること。」そう言い切れる等身大の強さにゆるぎない心を感じ、
そうなのだと思い出させてもくれ、やはり軸となる何かを芯に持っている人だと思う。
c/w「A HAPPY NEW YEAR」含め、やはりユーミンとの相性のよさを実感させられる。
柔らかく磨きのかかった歌声そのものの魅力、そして自ずと培われた自然な表現力。
どこか切なげなメロディを歌う、しっとりした声色に、恋する心の美しさに出逢う。
窪田ミナのアレンジも、巧みな舞台演出で彩りを添える。タイトル曲と共に良曲。
最新Live音源の後編は、懐かしい菅野「ピース」より開幕!個人的にとても好きな
曲だっただけに、今にしてLive版が聴けるとは、まさかの嬉しい誤算。かっこいい
Liveオリジナルの『You can't catch me〜』コーラスなども聴け、お得感二倍増し。
そして「風待ちジェット」「Get No Satisfaction!」「マジックナンバー」と、今ここへ
至るまでのグッドナンバーが続き、アップテンポの勢いのままに坂本真綾として
新たに昇華されてきた真実が何ものであるかが、生き生きと躍動する心で声の
限りに歌われる。さらに「光あれ」で力いっぱい頂点に達するそれが、それぞれの
瞬間、彼女と共に感じてきた、かけがえのない何かに感じられ感極まる。
「トピア」のしっとり落ち着いた幸福感も、そして「I and I」のまだ初々しい頃の
ハッピーな感覚も、どちらも一人の同じ女の子が感じた延長線上にあるものだと思うと、
妙な感慨がある。特に菅野音楽のセンスよさに当時魅了された後者は、今現在の
坂本真綾が歌うことで同質化され、さらにお茶目なナンバー「stand up,girls!」へと
繋がっていくことで、彼女の中の少女性がやはり永遠であることを思い出させる。
時を経てさらにチャーミングになっていく歌声に、彼女はこれからだと実感した。
観客と一体となるLiveのお約束の嬉しさの中、ラストナンバー「everywhere」へ...
まさに自身の存在表明、その感慨を落ち着いた力強さを響かせる低音〜中低音にて
披露し、呼び起こされる感動に胸が震える。まるで自分自身のことのように。そう
思わせる、すぐそばにある鼓動を教えられ、彼女に魅了させられる理由を知る。
非常に聴かせる魅力ある歌い手に成長した坂本真綾。そう自然に実感させる、
よいLive音源だった。曲の構成もよい。実はコンスタントにLiveをこなせる
底力のある人なのでは?と思ったほど。先行マキシ「Buddy」ともども、この
Live収録が付加されただけでも初回盤を手に入れる価値は勿論十分にある。