前作からもう何年経ったでしょう?この緩いエッセイたまに無性に読みたくなって本棚の奥から引っ張り出してきます。
今回はとりあえず購入後、とっておきの時間まで読まずに置いてました。そしてとっておきのタイミングで一気に読んで幸せな気持ちになれました。
私は村上春樹さんほど文章のプロだなと感じる作家はいないと思っています。時に難解な文章も書かれるけど、このような緩いエッセイだったり、難解な批評文だったり、村上節比喩満載の小説だったり、読みやすく、面白い翻訳だったりと実にバラエティに富んだ文体を自由自在に書くことができ、かつ独自のユーモア、凡人がおよそ考え付かない奇想天外な物語、物事を的確に表現できる能力、どれをとっても素晴らしいと思います。ご自身もよく語っておられる通り、プロの物書きとして面白いものを努力して書いていると言いきるところがまたカッコイイです。普通は努力してても天才的にさらっと書いてますみたいなことを言いそうなものなので。
このエッセイ集はかなりくだけた感があって「ムラカミさん、ふざけてます?」って思えるところも多々ありますが、それもプロの文章家として練られたエッセイなんでしょうね。
書店でananを見るとつい「春樹さんのエッセイだけは読んで行こうかな」と思うと同時に「単行本になるまで楽しみに待ってよう」と思ったり。結果読んだり読まなかったりしますが、それも含めて楽しみにしているエッセイです。
個人的には最後の「ベネチアの小泉今日子」が今回一番ハマったエッセイでした。まず春樹さんから「井上陽水」「小泉今日子」といったJ-POPの歌手名が出てきたのがびっくりでした(^^ゞ前に小説で「スガシカオ」が出てきた時も仰天しましたがまさか春樹さんがアイドルの歌聴くなんて、しかも気に入ったなんて意外ながらも嬉しくて。このエッセイの最終ページ4〜6行目には人にとっての音楽の効能が綴られてますが、そこに小泉今日子を持ってくるあたりは天才的だなぁと目から鱗でした。
文章のエンタティナーとして最高峰の春樹さん、このエッセイはずっとずっと続けて欲しいです。