コミックで作品を追いかけている自分は西浦VS美丞大狭山5回戦に4ヶ月も触れてなかったが、頁を開いた瞬間、自分自身が球場
に引き戻され前巻の緊張感がたちまち戻って来た気がして心が引き締まり、ラストまで一気に読んでしまった。
相変わらず各選手の心理描写を丁寧に追っていく密度の濃い展開だが、今回は特に西浦ナイン一人ずつの勝負シーンが丁寧に
描かれているのが嬉しい。一打ごとに繰り出される彼らの心の葛藤・覚悟が読み手にびしびしと伝わってくる。個人的には過度の
プレッシャーでうまくボールを打ち返せない西広の自責のシーンは読んでいてつらかった。また捕手阿部の不在により、主人公・三
橋がバッテリーの本質に気がつき、チームのエースとしての覚悟を固めるシーンはもちろん本巻の見せ場の一つだ。
だが何よりも終盤のシーンが最高!最後まで彼らを応援し続けた浜田応援団長をはじめとした観客席の温かさには涙腺が緩んだ
し、西浦ナインの見つめる先は既に終わった試合でなく次の試合に向かっているのが頼もしい。彼らを一喝したモモカン、もうひた
すら格好良いよ。あなたがいなければ今の輝いた西浦ナインはいなかった。
何巻にも渡って描かれた西浦ナインの初めての夏。緊張感溢れる試合群の終結と共に、読み手にも心地良い疲労感と、何よりも代
え難い清々しさ・感動を届けてくれた。今後の西浦ナインの展開の布石となる重要なエピソードがたっぷり詰まった、ファン必読の重
要巻。西浦ナインと対戦校となった桐青・埼玉・港南・美丞大狭山の選手全員に「素晴らしい夏をありがとう!」と言いたい。