ふとしたきっかけで1巻を手にとり、6巻まで一気に読んだ。おもしろい!と思った。百恵というお嬢様育ちの主人公が、一人前のコックを目指していく道筋で、「たくさん恵まれるように」ではなく「おしみなく恵む人間になるように」という名前にこめられた両親の願いどおり、周囲の人々に希望をともしていく。一つひとつの出会いや試練を真正面から素直に受け止め、取り入れ、昇華させていく。ともすれば嫌味になる天然キャラが、いとおしく、大切に描かれていて好感がもてた。単なる恋愛モノではなく、魅力的な脇役をからめて、人間とは、成長とは何かを問いかけていく魅力的な作品だ、と思った。「愛のアランフェス」や「ダンシングジェネレーション」に比べて、作風が段違いに深くなったなあ、とうれしくなった・・・
・・・のに。7巻以降、最後までで、一気にフツーの恋愛ものになっていく。怒涛のように、崩れていく。緻密に練り上げてきたはずの人物像が、ストーリーが、なしくずしに狂っていく。あたりまえの「腕はイマイチだけどかわいくて素直な女の子」が恋をして、恋が一番大事で、ひたすらハッピーになるお話で終わってしまった。途中までの丁寧さはなんだったのだろう。たくさんあった複線はどうなったのだろう・・・途中で、息切れしてしまった、のだろうか。
前半と後半が、まるで、ちがう登場人物が出てくるちがうマンガを読んでいるようなちぐはぐな気すらした。
人それぞれだろうが、わたしは、とにかく、失望した。