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おいしい中国―「酸甜苦辣」の大陸
 
 

おいしい中国―「酸甜苦辣」の大陸 [単行本]

楊 逸
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

中国東北部の食文化を多数のカラー写真で一挙公開!餃子、腸詰め、ワインまで!中華料理で分化を味わう、芥川賞作家の食べものエッセイ。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

楊 逸
1964年、中国黒龍江省ハルビン生まれ。1987年、留学生として来日し、お茶の水女子大学文教育学部地理学専攻卒。2007年、「ワンちゃん」で第105回文學界新人賞受賞。2008年、「時が滲む朝」で第139回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 205ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2010/10)
  • ISBN-10: 4163731601
  • ISBN-13: 978-4163731605
  • 発売日: 2010/10
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.4 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By jackie
著者の幼いころから大学に入るまでの食生活を通して、中国の社会が感じられるエッセイ。
共産主義経済下での生活、下放、制度の崩壊・・・私は詳しい近代中国史は知りませんが、
一市民の生活の息遣いから社会の移り変わりがわかります。
政治的なことは語られず、家族と食生活を中心にこんなに社会の変遷がわかるものかと、
興味深かったです。
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9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
上々の内容です。特に、文化大革命という日本人には良く分からない事件を、市民の目線で淡々と語っているところは、逆に真実が分かる気がします。それと、飽食だの亡食だのと言われている現代が、実は日本の特殊事情だということも、感覚的に分かります。現代の食を考える際に、絶好の書です。
このレビューは参考になりましたか?
1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 書名から最近流行の「うまいもの巡り」の1冊だろうと思っていたが、全然違った。これは楊逸の幼き頃の食べ物の記憶から綴った、一家の「下放体験」という貴重な書物である。 
 文化大革命時代の下放といえば、先ず学生と考えるが、それだけではなかった。両親が教師で「地主階級」出身の楊一家は1969年の冬、「思想矯正」のため、子供3人を連れ(高校生の長女は既に学校から下放中)ハルピンから60km北の農村、蘭西に下放される(逆に農村から都市に連れてこられる「上調」という制度もあったらしい)。そこであてがわれた家は、水道・電気は勿論のこと、窓ガラスもドアもないという廃屋で、そこで自給自足生活をしながら3年半暮らすのだ。両親の嘆きと心労は如何ばかりだったろうかと、読んでいて胸が潰れる思いだが、6歳の少女楊逸の関心は食べることのみ、その時の味覚が彼女が掘り出せる最大の幼児記憶なのである。
 下放生活での母親の活躍が素晴らしい。「地主のDNAをうけついだ」彼女は身重のからだで、春になると固い大地を掘り起こして野菜を作り、鶏、アヒル、ガチョウ、豚、羊を飼い、工夫に工夫を重ねて、少しでも美味しい食事を、と頑張る。彼女が居なかったらこの一家はどうなっただろう。学齢前の楊逸も母親を助け家畜の餌作り等ひたすらに働く。こうして食した、貧しいが心を込めた食べ物の名前が次々と繰り出される。
 楊一家の生活は惨めさばかりではない。一家の飼っている黒犬や家畜が実に賢くて、農民から「知識人階級の知識家畜」と呼ばれたり、キュウリが未だ小さい時に枝をつけたまま空瓶に入れ、育った後に酒を注いで「キュウリ酒」にするとか、父親が乾燥サンザシの粉と蜂蜜から作った「消化不良・食欲の改善」薬を、年中空腹の彼女が食べれば食べるほどますますお腹が空いた等の逸話は、読んでいて微笑ましく、少し羨ましい。
 ハルピンに戻っても、我家は人出に渡っており、長女が再下放先!で事故死するなど、一家の辛い生活が続く。だが両親の前向きな姿勢と楊逸の明るさで危機を乗り越えて行く。松本清張も、「本当に困難に強いのは、労働者階級ではなく中産階級だ」(『わが半生の記』)と述べているが、ここには中国中産知識人階級の、4文字中国語で言う「不撓不屈」があり、楊逸の原点がある。
 楊逸は、「人間とは所詮単純な動物で、いくら思考力があっても……前日飢えていたおなかが、今日八分目に食べられ、しかも美味であったら大満足し、漲らんばかりの幸せ感を覚えるのだ」という。不条理な疎開生活のなかで、子供たちに幸せ感を与え続けた楊家御両親の生き方は、「中国下放史」に残るだろう。
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