つくづく、施川ユウキは過小評価されていると思う。その理由が、本書が煽る「絵が下手」に起因しているかどうかは分からないが、そこで判断してしまう人がいるとしたら残念でならない。少なくとも、絵が下手でもおもしろい漫画はあるということくらいは容認して欲しいもんだ。
逆に、施川作品は無理に漫画として評価しなくてもいいとさえ思う。例えばこの漫画はエッセイ漫画だが、文章によるコラムと読み応えはほとんど変わらない。
だが、これほど「笑いそのもの」を的確に表現している漫画家はいない。漫画自体は目的ではなく、表現手段として機能的に使われているという印象だ。作中では「絵が下手だから結果的に4コマになった」というような話があるが、「そもそも施川ユウキの笑いは4コマに適している」というほうが僕は納得できる。
デビュー作「がんばれ酢めし疑獄!!」は余分なものを削ぎ落としたギャグ漫画のひとつの完成形だと思う。古典的な笑いの本質を暴き、独自のセンスで一気に突き放す痛快なギャグ。何度読んでもおもしろい。敢えて言おう、もし絵が上手かったらあんなにおもしろい漫画は描けなかっただろう。
と、書いておいてなんだが、この「え!?絵が下手なのに漫画家に?」は施川作品の中では少々つまらない部類に入る。エッセイということもあり平坦な漫画だ。初心者用としての役割はあるし(むしろコア向けだけど)、読む価値アリだとは思うが、過度な期待はしないで欲しい。
しかし、途中に入る読み切り時代の「がんばれ酢めし疑獄!!」はファン必読だ。ほのぼのした日常やキャラクター先行のユルいギャグ漫画が溢れる昨今、最もギラギラしていた頃の施川ユウキのギャグが妙に懐かしく、やけに心地いい。