アメリカ生まれの異色のアーティスト、エドワード・ゴーリーによる、1957年初版の人気の絵物語。なんといっても、「うろんな客」の姿形がチャーミングで、忘れがたい。とがった顔に短足。お腹がふくらみ、重心が下にある幼児型が、稚拙な仕草をほうふつさせる。
この客、傍若無人ながらも憎めないのは、多分、彼が無心に行動するからだろう。たとえば子どもにせよ、ペットにせよ、無垢で無心な存在に、手はかかるけれども案外私たちは救われているのでは。そう思うと、この超然とした招かれざる客には思いあたるふしがある、と深いところで納得させられもするだろう。
白黒の、タッチの強いペン画と、文語調の短歌形式の訳が、古色蒼然としたヴィクトリア風館の雰囲気を、うまく醸し出している。明治時代の翻訳本のようなレトロ感も魅力。原文はゴーリー得意の、脚韻を踏んだ対句形式。どのページの絵も、これまた芝居の名場面のようにピタリときまって、子ども大人共に楽しめる絵本だ。(中村えつこ)
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子育て中の人なら、このような不可思議な行動に思い当たる節は多い筈。
思わずそうそうと頷き、ゴーリーの子供というものへの直感的観念が
いかに核心をついた鋭いものかが理解できるような気がします。
是非、子育て中の人に読んで頂きたいと思う本です。
子供の、大人にとっては迷惑だと感じる行動にも、
この本を読めば少しはおおらかな気持ちで
接することができるようになるのではないでしょうか。
柴田元幸さんの訳にはいつも素晴らしいと感心しますが、
この本では「短歌形式」という意表をついた訳となっています。
これがなんともリズム感や味わいのある文になっていて、
本当に素晴らしいと思います。
文字数の制限がある中で、これだけの表現ができるなんて
「日本語って凄い!!」とあらためて思いました。
完全訳とはもちろんいきませんが、原文(英文)も合わせて載せてありますし、
訳者あとがきの中にはご丁寧にも散文バージョンの訳も書かれていますので、
いろいろな形で存分に味わえる内容になっていると思います。
「うろんな客」自体のキャラクターもさることながら、
それを見守る家族の顔がいいです。どんなに困らせられても
やっぱりこいつは憎みきれない、という愛情を感じる作品。
筋の通らないことをする同居人に振り回されて
「困ったものよ」といいながら目を細めて笑っている
人間の姿に感銘を受けます。
(同居人は人や動物、何でもあてはまるのではないでしょうか)
*本体は高さ13センチ幅16センチで
文庫本を一回り大きくしたくらいのサイズです。
そうはいっても彼のほかの作品は、怖がりの人にはあまりオススメできない。多分、イラストや展開の恐ろしさ、ブキミさが先に立つだろう。
どうしてもゴーリーを体験したいあなたは、これ、この「うろんな客」がお勧め。これは、怖くない。大丈夫。これで十分まったりしてください。
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