「55歳からの賢い生き方」という副題につられて本書を手にとりました。「定年」なんて遠い未来だと思っていたのに、定年の言葉が少しずつ近いところまでやってきた身にとっては人ごとではなく、関心をもって読みました。
元出版社勤務の編集者である北蓮一氏の自分史のような箇所もあり、少し前の世代の定年について書かれた文章を紹介しながら、「定年」の心のあり方を説く本でした。テーマがテーマですから、どうしても主観的な内容になってしまうのは仕方がないのかもしれません。
筆者の定年後の収入は、厚生年金と原稿代で賄われているようで、高齢者夫婦の標準月間生活費を下回るようです。それでも原稿を書き、趣味を持ち、料理をして自分の居場所を確保するなど参考になる事例もありました。24ページに筆者の定年前と定年後の1か月の支出が書かれてありますが、結構切り詰めないとやっていけないのを知りました。これはこれで身につまされる内容でした。
34ページには、会社から切り離されてみると人間「関係」を結ぶ人間が極めて少ないということも指摘してあります。毎日が日曜日で悠々自適を夢見ているわけですが、理想と現実のギャップがここでも感じられます。
定年と同時に住宅ローンを終えられたことや生命保険の掛け金を減らすこと、そして自己資金を1800万円用意する必要があることなど、経済的な準備の必要性も説いています。
そして一番大切なことは、熱中できる趣味を育てておくべきだったと述べています。趣味が定年を豊かにするとは良く言われています。「人生は『考える』よりも『楽しむ』がいい」につながりますが、新しいことに挑戦する気迫が必要となるわけで、そのあたりに大切なことがあるのでしょう。