ファンの間でも悪名高い今作。明らかに「ビューティフル・ドリーマー」に触発されて作ったは良いものの、完全に方向性を見失ってしまった文字通りの迷作。
ただ、こういう「謎めいた雰囲気」や「次第に日常が崩れていく」というシチュエーションが個人的には大好きなので、嫌いな作品じゃない。むしろ好きな部類。
確かに非常に難解な内容で、今見てもはっきり言ってストーリーはワケ分かりません(笑)。幻想性や不可解性を優先しすぎて、シナリオ構成がほぼ破綻している。「太郎桜」や「鬼姫伝説」など、数々の意味深な伏線もまとめ切れずに「あれって何だったの?」という感じで終わっている。ラストの「街の見る夢」というオチも、それとラムの失踪などがどう関係していたのかよく分からないまま(推測としては、友引町が「ラムのいなかった頃の平凡な日常」へ回帰するために、「異分子」であるラムを皆の記憶から消そうとした?ただそれだと作中でも言及があるように、ランやテンが消えない理由が分からない)。
しかし「うる星やつら」という作品の持つ器は、そんな不可解な世界観をも魅力的にしてしまう。それはすべて、より魅力的なキャラクターたちによって作品世界が支えられているからだろう。こんな破綻している世界にあってすら、キャラの生き生きとした魅力が失われない事を逆説的にせよ示した作品とも言える。
それとは別に、エンディングテーマ「メランコリーの軌跡」は超名曲!「うる星」関連の音楽やBGMは今でも色々な番組で使われるほど名曲が多いが、その中でも別格の出来。これを聞くだけで当時の事を思い出す。今やトンデモ芸能人としてしか報道されない玉置浩二の作曲とは信じられない完成度。
良くも悪くも印象に強烈に残る異色作である事は間違いない。