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うるわしき日々 (講談社文芸文庫)
 
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うるわしき日々 (講談社文芸文庫) [文庫]

小島 信夫
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第49回(1997年) 讀賣文学賞小説賞受賞

出版社/著者からの内容紹介

『抱擁家族』の30年後の姿 老いと家族をテーマの長篇

80を過ぎた老作家は、作者自身を思わせて、50過ぎの重度アルコール中毒の息子の世話に奮闘する。再婚の妻は血のつながらぬ息子の看病に疲れて、健忘症になってしまう。作者は、転院のため新しい病院を探し歩く己れの日常を、時にユーモラスなまでの開かれた心で読者に逐一説明をする。複雑な現代の家族と老いのテーマを、私小説を越えた自在の面白さで描く、『抱擁家族』の世界の30年後の姿。


登録情報

  • 文庫: 416ページ
  • 出版社: 講談社 (2001/2/9)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 406198246X
  • ISBN-13: 978-4061982468
  • 発売日: 2001/2/9
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 418,237位 (本のベストセラーを見る)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
名作抱擁家族の30年後の物語。
80歳を過ぎた老作家の身辺の出来事を描く。重度のアルコール障害の息子、その離婚問題、健忘症の老妻に頼る息子の介護などうるわしくない話が続いていきます。こう書くとこれだけのことですが、この小説はものすごく面白いのです。本当に息もつかせず一気に読ませるのです。なんというのかこの作家の独特のユーモアが全く救いにならず、その救いになっていないところが面白いのかもしれません。老作家の流れない涙と保坂和志氏と思しき若い小説家からの手紙のラストは見事だと思います。
このレビューは参考になりましたか?
11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By daepodong VINE™ メンバー
形式:文庫
 名作「抱擁家族」の続編、と作者自らが宣言しています。

 今、このように構成員が壊れてしまっている家族は少なくありません。高齢化社会、弱肉強食の新自由主義に基づく社会が進むにつれ、このように「人生の敗者」になってしまっている成員を抱えた家族はますます増加してゆくと思われます。
 この小説は「私小説」なのでしょうか? たぶん、作者自身が置かれたプライベートな状況に極めて近いのでしょう。しかし、少なくともむしろ作者一流のユーモラスな筆致によって、その絶望的な状況は緩和されているようにみえます。
 しかし、それはあくまでも見かけです。このユーモアはどこから来るのでしょうか? 開き直りなのでしょうか? それとも生への信頼なのでしょうか? たしかに、このような救いようのない状況に対抗するのはこの「ユーモア」しかないのかもしれません。しかしわたくしはそれが極めて無気味に見えます。現実が、そのユーモアの向こうに隠蔽されたようにみえる分、かえって「救いようのなさ」が強調されているように見えるからです。

 ということで、個人的にはあまり好きなタイプの小説ではありません。しかし、好悪を理由にこの名作を推さないのは不公平というものでしょう。

このレビューは参考になりましたか?
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
この本は何と言っても題名がよい。それが素敵なタイトルであるということは、ちょっと目端のきいた人ならすぐに分かってくれると思うのだが、著者の説明では、ベケットの「しあわせな日々」という芝居からとり、ベケットはヴェルレーヌの「うるわしき(しあわせな)日々」からとった。ベケットもヴェルレーヌも昔を回顧するという観点からのネーミングで、著者がこの題名で短編を書くと知った大庭みな子は、そこからの引用で、「楽しみの日々」を書いたそうだが、そうと聞くと、私はかのマルセル・プルーストの名編「楽しみと日々」を思い出してしまう。いずれにしてもいいタイトルであるが内容は麗しいどころの騒ぎではない。

八十をとうに越えた老人がアルツハイマーが進行中の愛妻と重度のアル中(コルサコフ症候群)で入院中の息子をかかえこんで、朝から晩まで右往左往するという悲惨な話である。これは、人生の本質は「生病老死」であるといわんばかりの心境小説であり、その孤独な暗夜行路に待ち構えているのは、主人公自身の死であることもまた明々白々であるというのに、この人の末期の眼は異様なまでに冴えわたり、その死に至る道中で見聞きする光景や相次いで生起する事件のすべてを精妙に記録し、判断し、あけすけに語り続ける。

この人にとって生きることはすなわち書くことであり、書くことがすなわちいまという瞬間を永遠につなげていくいとなみに他ならない。そこでは実際には何の希望もない悲惨な現実を書くことが、絶望ではなく希望に直結しているという奇跡的なパラドックスを誕生させ、悲劇をあますところなく対象化しようとした文章が、あろうことか一抹のユーモアとペーソスを湛えた人間喜劇にさえ転化しようとしている。

これを著者の人生最後の神業と呼ばずになんと評せばいいのであろうか? かくして偉大な文学者の晩年の苦悩に満ちた日々は、「麗しき日々」となったのである。
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