小林さんは、おそらく、紋切りや、予定調和、流行に乗ることや、多数意見に賛同すること
通俗的解釈に対して、恥の感情を持っている作家であろう。
それを承知であえていうと、これは、主人公を、坊ちゃんから、うらなりに代えた
スピンオフ小説で、『坊ちゃん』が、痛快青春小説だとする説に異を唱え
『ドーランの下に涙の喜劇人』的な小説であると解釈した上で書かれた小説である。
上記は、もちろん僕の拙い解釈で、これですべてが語れているとは思わないで欲しい。
ぼくは、この小説を読んで、ハラハラと涙が流れたけれども、涙が流せるのは、
男で、しかも、年寄りで、しかも未練がましい、やつだけかも知れない。
なお、ひとつだけ、僕が、この本で傷があると思ったのは、後半に添えられた
「創作ノート」の中で、坊ちゃんを「B型ヒーロー」だと、断じるところである。
血液型の判断は、座興ならまだしも、この本にはそぐわない