前作「裂けた瞳」中盤でほんの一瞬、登場した千脇エンタープライズ。エンタープライズといっても債権回収やら援交(というか売春)斡旋をするあぶない企業なのだが、その3人を中心に物語は展開する。私のイメージでは、我執院達也と(安田大サーカスの)クロちゃんと八嶋智人みたいな3人だ。そして、「黒牟」という得体の知れない場所が第4の主人公として登場する。
この「黒牟」の描写が秀逸である。寂寞感、鴉、打ち捨てられた雰囲気、まるでアッシャー家周辺のようだが、そこは無人の荒涼とした土地ではなく得体の知れない人々が蠢く町なのだ。その町中に「うなぎ」が飼われている。厭な感じだ。
「うなぎ鬼」―――「うなぎ」の方は勘の良い人なら大方の想像は付くだろう。真相はじわりじわり、ひたひたと見えてくる。しかし、なぜ「鬼」なのか。それが本当にわかるのはこの本の最後から2行目だ。これは怖い。頭がジーンとした。
正にヤバイ一冊だと思う。