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本書が楽しいのは、現役医師のホンネがそこかしこに漏れ出ているからです。こういう広く一般に読まれる本を書く専門家は、あまりホンネを出さないものですが、この人は違います。特定の薬に対して「私もこの二つの薬は好きである」なんて、思いっきり個人的なコメントをしている。
私の乏しい経験では、良い医師は個人的な感情を押し殺さない。万能の医師ではなく欠点ある一人の人間として患者に対峙してくれる。彼の個性をフックにして、患者である私は医師に人間的信頼を抱き、自分への信頼を回復していきました。本書を読んでると、治りかけの時、医師の面談が楽しみだった頃を思い出しました。楽しい本なんです。
あと、本書は最新の治療について非常にきちんと書かれています。まず薬物療法についてしっかりと書かれてますから、患者は「自分が今どんな治療を受けているか」を理解する助けになるでしょう。その次に通電療法。もうちょっと病気が続けば受けてみたかった治療です。そして認知療法。
良いのは、精神分析など日本ではほとんど実施されていない・効果も薄い・高価で時間がかかる治療法についてはムダにページを割いていないこと。精神療法は現在の日本では現実的な選択肢ではありませんが、いたずらに投薬を「薬漬け」と批判する人たちが、さも投薬より効果があるみたいな幻想を振りまいています。本書はそうした幻想に与しません。あくまでも現場レベルでの最善を紹介しています。私は本書の姿勢に強く共感し、支持します。
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