それまで元気だった妻がある日突然うつ病になり、その妻を見守りながら日々を生きる夫の姿・回復へ向けての日々を綴った記録を小説化したものです。
時には単調な日々の繰り返しで、いつ治るのかも分からない。無力感を感じていながらも、妻のために向き合う夫の試行錯誤の姿が印象的です。そして、そのような日々の様子が、夫婦の行動・日課などに効果的に表現されています。淡々とした表現ですが、ページを読み進めたくなる感じです。
そして、この作品の見せ場の1つは、夫としての家族への向き合い方です。これまで医者として一生懸命働いてきた夫が、これらの日々の中で妻・子供に向き合っていく。そして、夫婦のあり方を熟考していく夫の姿に、「病を通じて得られるもの」もあるということを感じさせられます。
この作品は筆者の実体験を基に書かれている作品のようです。そのため、周囲にいる人間としてできることは何か、家族とのつながりとは何かということを、現実味を帯びた形で感じることが出来る作品だと思います。