これまで著者は、やや誤解を招くような「うつ関連本」を出してきた。
しかしこの本は、うつの症状と診断から始まり、薬、うつの人との接し方……と
極めてオーソドックスにページが進む。
すべての項目がQ&Aである。たとえば
Q家族はどう声をかければいいの
……夫がうつで寝込んでしまった。とても気を遣う。
そっとしてやればいいいのか、励ませばいいのか?
これが1ページ目にどんと来て、あとの数ページは解説があり、
最後に「まとめ」的に「答」がある。
典型的なハウツー書の作り方だが、文章がわかりやすく、
項目も過不足ない。
新型うつについても比較的早いページで触れられている。
私は10年ほどうつ状態が続いている。良くなったり悪くなったりの繰り返しだ。
そして思うのは「うつには、原因がこれ、治し方はこれ! というものはない」
ということだ。まさに千差万別、人それぞれなのだ。
もちろんそれでも、それなりの指針はある。本書は精神科医として
著者がその指針を誠実に示したものと言えるだろう。
香山リカさんは、うつ患者の気持ちを逆なでするような本も書いてきた。
著者の本意は別にあるとわかっていても、
精神科医として、あまりふさわしくないアプローチだと感じたものだ。
しかしこの本にはそれがない。良書である。