「初子さん」「うつつ・うつら」の2編を収録した中篇集。
比喩ではなくリアル体験としてなら、本当にむしむしと暑い日には、空気は粘りつくように重く感じられて、必死に息を吸うのに酸素が取り込めないように苦しくなり、死んでしまいそうな気がするときがあるものだと思う。これは万人誰でも経験がありそうだ。
それが「暑さ」のせいではなく、「自分の人生・生きている毎日」それ自体のせいで、、、ということになると、少し薄幸な人か神経症的な人に限られてくるのかな、と思う。
あるいは、誰でもわかる・味わったことのある感覚なのかもしれない。
劇的なショックはなくて、緩慢に絞め殺されるように苦しい。でもたいていの場合は生き延びている。その倦怠がさらに重い。
そういうものを、すくいとって描いている小説(だと思うのだが、、、多分)にもかかわらず、不思議とずるずると最後まで引っ張られて読めた。
最後まで読んで、カタルシスが得られるわけではないので私自身の好みではないのだが、なんというか興味引かれた小説である。