このエッセー集を読んでいると、サブタイトルの『私の惚れた「江戸」』と言う言葉がぴったりくるような作者の「江戸」への愛着がひしひしと迫ってきます。
このエッセー集の構成は、「粋」と「遊び」、「くらし」、「食」の三つの括りから成り立っていますが、その一つ一つの文章から、「江戸」の意外な一面を知り驚かされます。
それは、私たちがTVドラマなどで見ている江戸庶民の「くらし」が、決してそんなものではなかったと言うことです。
ほとんど外食に頼っており、適当な時間に食事をする生活など、考えられもしませんし、そこから生まれた「江戸前」の食事の数々など、ただただびっくりするだけです。
そんな中でも、どのエッセーからも感じられるのは、現代への問題意識です。
三百年続いた平和な時代である「江戸」と、戦後の平和を謳歌している現代と、そこには大きな開きがあります。
「足る」を知った「粋」な生活をしていた「江戸」の時代に対し、現代の「飽食の時代」の問題をつくづく考えさせられます。
「江戸」の時代に戻るのではなく、「江戸」の時代の考え方を現代人も熟知し、考えて生活すべきなのかも知れません。