「ちょっとした財産もち」のコランと軽やかで美しいクロエ。ふたりは盛大な結婚式を挙げるが、そのすぐ後、クロエは肺に「睡蓮」が巣食うという奇病に侵される。治療費のために破産に追い込まれながら必死に看病するコラン。だが、クロエは日に日に衰弱していく。そして、ある作家の偏執狂的コレクターのシックとその恋人アリーズ、コックのニコラなど、周囲の人々の人生も深刻な様相を呈していく。
原作ともども、この作品の魅力のひとつは、残酷さと無邪気さをあわせもつ幻想的な描写の数々にある。恋するふたりを包む、熱くてシナモンシュガーの味がするバラ色の雲や、土から生えてくるたくさんの銃身、そして、クロエの胸から伸びて咲く睡蓮の花…。原作を知る人にとっては違和感をおぼえる場面もあるかもしれないが、彼女の目をとおして、ていねいに描かれたヴィアンの世界を、特に前半は、ただ楽しみたい。後半に入ると、破滅へ向うコランたちの姿が現実をぎりぎりのところで生きる岡崎作品の登場人物の姿と重なり、物語は一気に走り出す。
凝った装丁も、本書をより魅力的なものにしている。白い箱から真っ赤な本を取り出せば、表紙には睡蓮の花。しゅるりと勢いよく伸びるその姿は、恐ろしくて、美しい。(門倉紫麻)
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同時に「ヘルタースケルター」も読んだのでよく分かったのですが、細部まですごく丁寧に描かれていて、人の作った物語をあえて漫画にすることへのこだわりとか礼儀とかを感じました。
原作を読むほうが先だったのですが、読む人それぞれで違う印象を持たせるような、ヴィジュアル化するのが難しい物語を美しく、岡崎京子にしか出来ない粋な雰囲気で変換しているのには感激しました。
この作品に対して特別な気持ちがあるのが伝わってきます。
内容はやはり原作には敵いません。あの文体で味わってこその「もっとも悲痛な恋愛小説」だと思います。
だけど「肺から睡蓮の花が咲く奇病」という美しくて破滅的な病気を漫画で再現してくれて、その喜びは雑誌掲載時から改めて読んだ今に至るまで変わりません。
装丁も美しい。宝物になりそうです。
…帯は要りませんが。岡崎京子の台詞はどうあれ、中身が台無しになるようなくだらない文章で、知らない人は違う印象を受けるかも。
また、ちょっとしたところでアレンジしているところもあり、それもしっかりと原作にフィットさせています。岡崎京子の力量だからこそという部分です。
もしこの作品に興味を持ったの方がいらっしゃるのであれば、ぜひ合わせて原作を読んでいただきたし、原作を読んだ方もこの作品を読んでいただきたいと思います。原作の凄さと、岡崎京子の凄さを再認識することが!できると思います。
ストーリーは全く原作に忠実だけれど、... 続きを読む
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