私の周りでよく冗談のようにささやかれていますが、安易にフランス文学=不倫文学と考えてはいけないと思いました。(もし不快に思われた方がいたらすみません。)
肺の中に睡蓮が育つ病気に侵されてしまうクロエを看病するために、自分のすべてを賭すコラン。
幻想的な風景の中で貫かれる悲しみでいっぱいの純愛に私は胸をわしづかみにされました。
コランやクロエの他にもシックとアリーズの悲恋など、この小説の登場人物はいつも誰かに向って恋をしていて、それに比例して悲しみも満ち溢れていきます。(シックのサルトル好きには、さすがにこれはないだろう!とつっこんでしまいましたが。笑)個人的にはポール・ヴァレリーの「風立ちぬ、いざ生きめやも」の一節で有名な、堀辰雄の『風立ちぬ』を思いうかべました。
ちょっぴりファンタジックな切ない恋物語を読みたいという方や、フランス文学って『ボヴァリー夫人』とか『赤と黒』とかの不倫恋愛のイメージだなと嫌煙気味な方にはお勧めしたいです。