亡くなった双子の弟、蛍の恋人だった東原と一緒に暮らすうちに、どんどん彼に惹かれていく千樫。小学生以降の記憶をなくしてしまったという嘘に、東原は思い出すまで無理をしなくていいと言ってくれる。彼をだましている罪悪感と、弟の恋人を好きになり、その愛情を自分のもののように感じてしまうということで自分を卑怯でずるい人間だと悩む。さらに自分は身代りでしかないという苦しさにもさいなまれ、それでも優しい東原の側から離れずにいた千樫だったが、取材旅行から帰って様子が変わり、「絵が描けない」と苦しむ東原に無理やり抱かれてしまう。
東原にとって「絵を描く」ために蛍が必要なのだと思った千樫は、これ以上側にいることはできないと蛍の名前で置手紙を残し、千樫自身の生活に戻る。
しかし、東原は千樫を訪ねてきて「迎えにきた」と…
蛍が千樫に言えなかった悩みを、家族をうしなった東原に話していたいきさつ、東原と蛍の関係が普通の恋人同士でなかったことなどで、東原が千樫だけを本当に愛したのだとわかって安心しました。だからこそ「蛍とお前は全然似ていない」と言えたんでしょう。千樫は本当に健気で、悩んでいる姿が切なくて…。二人の想いが通じたあとのお話が「ひらいた扉」として後半に載っています。千樫は蛍のことを考えると、申し訳なさと嫉妬で苦しみ、どうしても東原と一緒に住むことができないのですが、あるきっかけで、その気持ちを知った東原がとった行動はお見事でした!!
とにかく、東原が大人で優しくて、千樫はいじらしくて可愛くて、じっくり読める恋愛小説でした。
あとがきで書いているような千樫に甘々で情熱的な東原を続編で読みたいですね!