なんというか……良い意味で、煮え切らなくて、もんもんとした感情がくすぶるような作品でした。
女子だけではなくアラサー男子(私もそう)にはぜひ見て欲しい良作なのはまちがいありません。
日常的な非日常を、素朴な絵柄と無駄を省いたセリフで描いた作品なので、男性でも読みやすいですし、普段マンガよりも小説のほうがって人も想像の余地があるので読みやすいと思います。
素朴な絵柄ですが、みんなオシャレだったり、服装がチョイチョイ変わってたりダイキチのパンツまでオシャレちっくだったりで、さすがです。
言葉足らずの部分も絵柄や雰囲気で見せるのも、行間を読ませる小説みたいなので、のめり込んで何回も読みなおしてしまいます。
漫画喫茶とかでじゃなくて、購入して本当に良かったです。
正直、非常に素晴らしい作品だと思います。
ダイキチという40歳(最初は30歳)サラリーマン、実ではない娘のりん16歳(最初は6歳)の主人公二人の生活と成長の物語です。
1巻〜4巻は老若男女が楽しめる幼少ストーリー。
5巻〜9巻は10年後が舞台で、すこし少女漫画ちっくな感じです。
共通して言えるのは、どちらも非常に好感の持てる素敵なキャラだということ。
ダイキチはいちいちかっこいい(しかしイケメンではないw)し、りんはいちいちかわいい。他のメンバーも素敵です。
9巻の展開ですが、女性目線で見れば問題ないのかもしれませんが、男性目線だとどうしても手放しで喜べない気持ち悪さはあります。
以下、それについてはネタバレ抜きでは語れないので下にレビューです↓(レビューつーか、感想になっちまったな……)
ただ私にとってこの作品はは文句なしの星5で、心のあたたまる素敵な物語なのはまちがいありません。
↓
↓
↓
現実世界でもビックリ婚はいくらでもあるので私はラストの展開自体に違和感を感じません。(ペタジーニ夫妻とか?)
ただ、りんがダイキチを好きだと気づく心理描写は丁寧だったけれど、ダイキチがりんを女性と見られるようになる心理描写がガクっと抜け落ちていたのが残念です。
それがラストの賛否両論の大きな元にもなっているのではないかなぁと。
わたしはアニメ二話を見て、本屋に猛ダッシュで大人買いしたニワカファンで、最近一気に読んだわけですが、物語の中でいつもダイキチはりんのためになる行動を選び続けていたと思います。
ラストの「俺にはりんのことを拒むなんて絶対無理」というセリフは「りんが求めているならそれに俺は全力で答えるしかない」という意味でしょうか。
ダイキチらしいといえばダイキチらしいです。
でも、りんの「こどもを産みたい、ダイキチの」というセリフに、一瞬なんとも言えない表情をするダイキチはまだ少しわだかまりを抱えているようにも感じられます。
当然でしょう。
きっと見切り発車かもしれないけど、約束の卒業式の日までにダイキチも決心をつけたのでしょうから。
だけど、ダイキチの決心の大きな部分がりんのためであるなら、りんの幼少時代にダイキチの頭をよぎった「犠牲」ということから、なにも抜け出さないことになってしまいます。
絶対に二人が幸せにならなければいけないのですから、それではあんまりです。
なので冒頭にも書きましたが、「どこに出しても恥ずかしくない娘」から「つーか、高値の花だよ」になるまでのダイキチの葛藤を、着地が不完全でもいいから欲しかった。
電車の中で二年待てというダイキチの提案は、本気でりんのことを女性と見られるように努力してみる期間としてのはずなんですから。
ちゃんとりんを女性と見ることができる、その可能性やきっかけだけでもいいから、なにかそういう描写がなければダイキチがかわいそすぎます。
それはあの二年間の中に必要なことで、今までの生活の中に「実は見出していた」なんてことは絶対に嫌な感情でもあります。
二年間を飛び越していたのは残念でならない。せめてあと1巻、10巻で完結にして欲しかった。
うさぎドロップは行間を読ませる作品と書きましたが、さすがにこの二年間を行間で読めは正直厳しいです。
だから、あの後ダイキチはりんに対して男性として機能すんのかとか、夫婦として旅行したり子育てしたり幸せな結婚生活できんのかとか、もんもんもんもんさせられてしまいます。
当然りんのほうは全く問題はないでしょうが、ダイキチがそうなら、りんだってかわいそうです。
家族だとか人生のパートナーとしてなら最高な二人ということには、多くのファンは納得してくれるのではないでしょうか。
なら、結婚だとかこどもだとかはそれとなく置いておいて、なんとなくずっと二人で過ごしていくのかな? と思わせるラストのほうが、読者の脳内妄想がフルに動いてくれる気もしないでもないです。
しかし、ラストは決まってしまっていますし、個人的にはラストの結果はアリです。そこまでの道筋が足りないだけで。
番外編もあるようなので、二年間に何があったのか……なーんて話があればいーなーと思っております。
(ああ、でもないほうがいいのかなぁ……もんもんもんもん……)