とてもシンプルで楽しく、この本は面白みが何重にも隠れている。
鉛筆とはさみがそれぞれのやり方でウサギを作る創造の楽しさ。
見た目や素材のぜんぜん違うウサギでもすぐに仲良くなれる楽しさ。
しかし、このお話に隠された1番のメッセージは成長する喜びではないかと思う。
鉛筆とはさみに作ってもらったウサギたちはお腹がすくとにんじんを作って与えてもらう。
そしてお昼寝から目を覚まし次にお腹がすいた時には自分たちでにんじんを発見した。
そのにんじんには影があるから本物だとウサギたちは言い、
それを食べた自分たちまで本物になり最後はページを飛び出していく。
絵と紙であった平面から立体へのステップアップ=成長するということは
同時に光のあたらない部分である影、つまり辛いことなども経験しなければならない。
最初は親に食べ物を与えてもらい優しい環境の中で守られていた子供たちが
成長して外の世界へ飛び出していくことは同時に嫌な経験もするということ。
それでも「本物」のにんじんや鉛筆やはさみはみな色鮮やかで美しく
成長していくことがどんなにすばらしいかを物語っている。
また、うさぎたちが心を弾ませながら旅立っていく最後は
読み手の子供たちに、成長し外の世界へ出ることの喜びを
レオニ独特の色彩と表現で伝えているのではないかと思う。